UP UP/R.E.M.
(1998)
Album
怖がらずに歩め R.E.M.に凄くないアルバムなんて一個もないんだけどね。先にレビューでも取り上げた「オートマティック・フォー・ザ・ピープル」、あれは公式に別格としても個人的にはR.E.M.のアルバムの中で一番好きで一番よく部屋のプレイヤーに乗るアルバム。人にいうと驚かれるんだよなぁ。メロディが少なくて実験的。他の諸作に比べればポップでなくて、歌詞が素晴らしい。“ハイでもないけどローでもない。”、“別に世紀末って気分でもない、かといって何でか明るい気分でもない”。今さら思い出すのは変な感じだけど、一言で言えば"どこにも落ち着けない"空気感っていうのか?個人的に僕は1998年とかそのあたりが、すごくリアルに自分にしっくりくるものとして捉えられるという妙な感覚があって、誰もかれもが互いにビクビクしてる感じっていうのかな?そういうものをまさに自分のフィーリングとして感じながら日々を過ごしていたりしたわけです。そこへ来て「Walk Unafraid」ですよ。そうか!と思ったんですな(時間差がその感覚を薄めてるので、いまそのことを振り返るのは難しいのですが…)。要するに、音楽がある時代時代を切り分けてパッケージングするもの、せざるを得ないものであるなら「1998年」という当時のこの空気感がここまで的確に表現されたものは他に聴いたり見たりしたことがないと、何だか今にして思うわけです。でも自分と全く関わりないはずの世界規模でリリースされるこういった作品が持つフィーリングと、ある国の一般市民である自分の身の周りの出来事とがシンクロすることってあるんだわ。いや絶対。それが僕としては音楽を聴くということの理由であり、止められない理由であり、「それ」を見つけようとして常に感覚を研ぎ澄ますそのことこそが本当に音楽を「聴いている」ということなんだと思うんです。…こうやって文字にして改めて眺めると何だかちょっとキてる感じがしちゃうんですけど(笑)、間違いなくそういった種の「エモーションの同時多発性」について考え始めたきっかけのアルバムでもあったりして。だからか僕はこの作品を永遠に忘れることはできない。クレジット面ではオリジナルメンバーのビル・ベリー(Dr.)が脱退し、三人体制で初のアルバムだった。当時 「三本足の犬だっていずれ歩き出すんだ」というマイケル・スタイプのコメントにグッときたのを思い出す。(2006年12月)  *2009年一部加筆




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