Team Rock Team Rock/くるり
(2001)
Album
ロック的選球眼 夕焼けポップからベッドルーム・テクノまで多彩な11曲収録。よく言えばくるりらしくバラエティ豊か、悪く言えばちょっととっちらかった印象をうける3rdアルバム。でも要所に収録されたピアノ弾き語り曲のもろく壊れそうな美しさや、ポップ史に残る会心の一曲「ばらの花」等のデジタルな楽曲の湛えるメランコリーはこの当時の彼ら独特のものでとても魅力的だ。まるでデビュー曲「東京」へのアンサーソングのような「カレーの歌」。何故この曲がここまで「Let It Be」に酷似しており、あまつさえコード展開・メロディは「Take me home, Country Road」をまんま!パクらなくてはならなかったのか。これは一例だけど、くるりのアルバムでは当然のように毎回この手法が使われる。必然なのだと思う。テクノもかじれる。ポップだってロックやジャズだって食える。しかもそれ全部、ひとりで部屋の中シコシコ製作できてしまう。意識してか無意識にか、そのことに気づいた岸田。突拍子もない曲や絵をかける才能が重視される世界、誰もがアーティストになりたがって「個性」がひたすらもてはやされつづける。もう右を見ても左を見ても世間はウザい個性で満員状態。そうなるともはや、“あたらしい”ものなんか楽しくも美しくも新しくもない。思えば「東京」だって「Creep」だったんでしょって話。ねぇ岸田さん。それでいいのだ。フォーマットや見かけはもはや本質的には問題じゃない。あるいは、それってもう何十年も昔から当然の大前提のはず。くるりはその前提を知っている。いや、そんな簡単なことさえ分からずに個性について語るのはやめよう。その個性って何?あなたらしいって何よ?あなたって誰?ていうかお前だれよ?・・・いや。そんなことに時間を割いてるヒマはねえ。もっと「できてる」か、「できてない」のか、それだけにコンセントレートできる目と耳を我々は持つ必要があるだけだ。このアルバムを聴いてる間中、そんな考えが僕の頭の中でうずまいて離れない。くるり、岸田繁は、曲を書く才能があるうえに、それを上回るほどのいちリスナー的サンプリング感覚(というか拝借センス)、そしてそれを自分達なりにアレンジしちゃう才覚とテクニックを持ち合わせた稀有な存在だと思う。ほら聴いてごらん。全曲何かに似ているよ。どこかで聴いたことがある。“すごい個性”だ!・・・何がアリで、何がナシなのか。この基準が「現在・今・自分」その他の基準を参照しながらビシッと定めることができる。ブレない。さらにはその一方で、受けた影響をここまで無防備かつ本能的にさらけ出せてしまう才能。まさにこれを「個性」と呼ばずして何と。つまり、くるりが生まれ持った「ロック的選球眼」の鋭さ、これこそ彼らを"Team Rock"四番打者たらしめる証なのだ。(それが言いたかっただけかぃ。)(2006年8月)  *2009年一部加筆




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