さざなみCD/スピッツ
(2007)
Album
鉄壁のポップ・ン・ロール
スピッツ20周年を記念する12thフルアルバム。00年の「ハヤブサ」以降、苦手(草野マサムネ談)とするロックをそのレパートリーの一部として消化し、傑作を連発し続けるスピッツにとってまたしても大傑作!といって間違いない決定打的一枚。とにもかくにも、スピッツ伝家の宝刀であるメロディが今回ハンパねぇ。ポップでキャッチーでロックで切なくて甘酸っぱい…もう全ての割合が珍しく濃いめに凝縮された甘酸っぱさ120%な一枚。mixiミュージックという、ファンが聴いてる曲が一覧できる機能があるんですが、そこでスピッツ楽曲再生回数の栄えある第一位ともなっている"魔法のコトバ"(2007年10月現在。意外。チェリーよりこっちなのね)、大名曲"青い車"の2007年版アップデートとも言えそうなくらいの爽快な疾走感に溢れる"群青"、歌詞が図抜けて素晴らしい"ルキンフォー"をはじめとする近年のシングル曲におけるクオリティの高さは言うに及ばず、ファンは嬉しい久々の泣きの直球バラード"P"、"フェイクファー"を彷彿させる"砂漠の花"などまぁこれも毎回のことなんですが、アルバム収録曲に一切の捨て曲無し。特筆すべきはやはり今回純粋なる楽曲の質の高さでしょう。中でも「泣きの…」というパラメータについては日本ポップ史に燦然と輝く名盤『ハチミツ』('95)以来、最長不倒距離を更新したといって間違いないだろう。個人的には草野マサムネ版“生涯一ロック小僧宣言"ともとれるM1「僕のギター」で既に涙。"作り話もあるよ だけど得意気に かっこ悪いとどこかで わかっていても/忘れたくない ひとつひとつを/消えないように 消えないように 刻んでる" スピッツには一時期過剰に感傷を求めてたこともあってうかつに聴けない時期もあった僕ですが(笑)、あれからはや10数年。王道のバンドサウンドにはただただ感服。初期の様な通好みのヒネクレ度こそ薄れはしたものの、それに取って代わるのは鉄壁のプロフェッショナリズムに裏づけられたポップ・ン・ロール。ま、安心して聴けちゃうところが少しだけ寂しい気もするのはヒネたオールドファンの戯れ言か。純粋に、楽しむための音楽として凄まじく高性能、どこからでも聴けちゃうシャッフル時代にあわせた切り口の多彩さも嬉しい。これぞまさにPOPを体現したアルバムだ。ドライブに、ベッドルームに、そしてもちろんiPodにと大車輪の活躍間違いナシです。(2007年10月)
*2009年一部加筆

前へ 次へ 一覧へ 関連レビュー1