Oomalama/Eugenius
(1992)
Album
牛はモーと啼くがキャラバンは進む
1992年。前年秋の、言わずと知れたネヴァーマインドの大ブレイクにより世界は北アメリカ発グランジ・オルタナティブ・エクスプロージョンの真っ只中!そんな時、ちょっと外れの島国(スコットランド)から激しくシーンに呼応してしまった伝説のバンド、ユージニアスの1st?にしてまさにオルタナ!な音のロック・アルバム。伝説のアノラック・バンドVaselinesのフロントマン、Eugene Kellyがヴァセリンズ解散後に組んだ、自名バンドです。BuzzcocksやDinosaur Jr.なんかが好きでも意外とこれ聴いてない人もいたり。ヘロヘロでお世辞にも上手いとは言えないか細い歌声と、ザクザクしたノイジーなギターサウンド+泣きメロは決して彼らにも引けをとらないと思うんですけど。個人的にはこっちのが好きだったりもする。この文脈で語られるときの“泣きメロ”とは、いわゆる演歌的な“泣き"ではなく、あくまで大陸的なドライさを残しつつもどこか哀愁を帯びた、胸の奥あたりをかすかに熱されながら何度も聴きこむうちにじわりと効いてくるメロディのことをいう(ほらウィーザーやなんかもそうじゃない?本当にスピッツに似てるかい?よく聴いてごらん)。そこに気づかないでいると、いや…気づいたって聴き始めたら最後、既に遅い。結果、魔力にとり憑かれ、ポップ中毒患者として山の様におかしなアルバムを買い込むことになる(笑)。当時の(いや今でも)僕がそうです。うん。しかし今だにこの頃の音、サウンドの質感にかけられた魔法は解けないんだなぁ。目をつむる度に耳の奥でギター・フィードバックがこだまする。もう15年、こういうアルバムを大真面目に作れる日本のバンドってまだ出てこないよなぁ…。メロすぎないメロディ、重要過ぎないリリック、思い切りラウドなサウンド!スーパーカーの1stがちょっと近いかなぁ。どうしてもみんな「一曲目はツカミ、二曲目はシングル曲で、三曲目にポップ/アコースティック」…とかね。セオリー。でも、もうこの辺のアルバム一度通っちゃうと、興味をそそられるポイントってそんな大味な流れ/構成とかじゃなくなってくんだよ。繰り返したいのは、サウンドの質感や、全体のグルーヴ感(こののっぺり感はどうだ!)。極論すれば、バラエティなんて不要。その音の「動機」が聴こえてさえくれば、全曲似てたって構わない。そういう意味では日本人が今だ手の届かない(目指すことが出来てない?)、何気にすごいアルバムだと思うのです。(2007年5月)
*2009年一部加筆

前へ 次へ 一覧へ