KID A/Radiohead
(2000)
Album
大きい魚が小さいのを喰う
個人的にいま何度目かの「KID A」モードど真ん中。「OPTIMISTIC」ばかり最低でも1日1回は聴いている。ロックの歴史(敢えてロック)の中でもコレはちょっと特殊なアルバムだと思う。なぜか?「OK COMPUTER」で一度てっぺんを取った者が、再び獲ったアルバムだから。突如エレクトロニクス全開。10拍子の「everything in its right place」でアルバムは幕を開ける。一度仕事場のサラウンドシステムで再生してみたことがある。仕事中ながら相当な大音量で。トム・ヨークの声を耳元で(本当にすぐ耳元で!)聴いたのを憶えてる。思い起こせば「OK COMPUTER」が出た当初、これは本当に凄いと思った。てゆうか…そういえば実はそれまでRADIOHEAD、ちゃんと聴いたことなかったんだった。でも、初めて聴いたアーティストのアルバム冒頭2曲で涙が出た。自分にびっくりした。感動したとかではなく、びっくり涙だと思うんだけど。それ以来いつも心の中心(かちょっとその脇)にあるバンド。(なんだろうな…アングラ魂は認めたくないと言っているけど。)まぁ実際のところそこまでのアルバムを作った次のアルバムだし、期待はしていなかった。果たしてリリースされた待望のニューアルバム一聴したところやはり「OK COMPUTER」のような感情の揺れは感じられなかった。。しかしそれこそが正に狙い通り。聴くほど明らかに、向かう矢の先は明らかに変わっていた。伝家の宝刀であるメロディを敢えて抑え、淡々としたフレーズのリピートとドラムループ、エフェクトを駆使した音像…をとっかえひっかえしながらもここまでブレずどの断面もレディオヘッド!的なアルバムを出してきたことに対して、あとあとKID A購入当時の僕はかなり興奮したんだった。「ニュー・プログレッシブ」とかっつって片付けようとする奴らもいる。うーむ。ちゃんとした耳を持てなかった奴の負け犬の遠吠えな気がする。このアルバムを聴くときはいつも心構えが必要。だからホントは聴きたくないかも・・・いつも傍にあって欲しいようなアルバムじゃない。むしろ近寄りたくないかも・・・本当に必要な時だけあればいい。でもそういう時があるんだなぁ。そしてそんなアーティストはなかなかいない。2nd「THE BENDS」の頃のギター・サウンドを懐かしむ声は依然多いようだけど人間は戻れない。気分も時間も歴史もテクノロジーも僕やあなたの趣味もただ、進む(変わる)。「音楽的冷凍食品」「感情のパッケージ販売」(勿論、自虐的かつ非常に良い意味で)全世界に自らのアートを流通させる為にどうしてもある程度は晒されざるを得ないそういった類の”悪口”を真っ向から受け止めた上でここまで客観的に分析、挑戦、対応できていることに素直に敬意を表したい。僕にとってRADIOHEADで一番なファクターの一つにロック、エレクトロニカ、フォーク、テクノ、プログレ…彼らを構成するどの要素をとっても「専門なら他のアーティストのが絶対優れてるよね…」というところがある。ただ「専門でそれしかできない!」職人的資質?は21世紀の僕らの趣味じゃなかった、ってことなんだろうなぁ。逆に言えばどの要素が突出していてもこの音楽は成り立たないだろう。そんなわけで多分聴いた回数自体はOK Computerの10分の1にも満たないと思われるこのアルバムが今何度目かでかなりグッときている。つまりそれは…みなさん音楽は、幸せなときに聴きますか?*次作「Amnesiac」(2001)は実質「KID A:DISC-2」的側面もあるので2枚組として聴くのがオススメです。(2005年6月)
*2009年一部加筆

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