“Special” and the glass handed kites and the glass handed kites/Mew
(2005)
Album
天使は宇宙人だった! 私的2005年圧倒的ナンバー1アルバム。かのビリー・コーガンも目指してやまなかった「天使のロック」がここに降臨。絶対零度の音圧で奏でられる美しすぎるメロディ。不思議な和音。複雑な展開。中性的、いや無性的ですらある、”生命のはじまるかたまり”そのものの鳴き声を出す、vo.ヨーナスの声。そして轟音。1st「Frengers」が“スターシップの故障で地球に不時着した異星人が奏でる歌物語”だったとしたら、2ndである今作「And The Glass Handed Kites」は、“やがて人類と共生を余儀なくされた、あまりにも繊細で知的な彼らの混乱と謎めいたシンパシーとが我々地球人とは全く源の異なるクリエイティヴィティによって放出された、新世代の始まりのストーリー”のような全14曲、曲間なし。プログレッシブロック?そんな人の作った縛りにくくられることも恐れず。むしろプログレすら既にプログレッシブ(進歩的)でない時代に生まれた彼らは、ただ純粋に自らの衝動に忠実に、22世紀のロックを鳴らしている。デンマークという“外部”を自らのルーツに持ち、オリジナリティについて悩む必要がなかったのはまさに幸運。圧倒的な音楽的自由をもてあそぶ(われわれ日本だってそのはずなんだけどなぁ)。音楽的にはちょっと前に紹介したMuseとかと近いのかもと思う。言うならば同じ「足し算の美学」に基づいたバンド。しかしMuseが参照するのはメタルやゴシックなどといったクラシカルな規範。それをいわば「過去→現在」というベクトルから彼らなりの方法論と技術で再計算し、技巧的にあの荘厳な世界観を作り出しているのに対し、本稿の主役であるMewは規範とすべき過去のポップやロックの歴史と言ったものからは比較的自由に見える。アイディアや発想といった初期衝動を新しい単位で再計算しただけの、「未来→現在」という真逆のベクトルから音楽を設計しているように見える。このように、オンガクの捉え方の点からみても、現在の音に向かうに至った根拠は恐らく180°異なる。おもしろいなぁ。でもこのピュアな初期衝動というか、ミレニアムも過ぎたいまやこれだけでも十分感動的なことですよ。しかもそれがこんだけがっつり作りこまれた展開のオンガクとして表出し、かつプリミティブな感じ、イマジネーションレベルでの何か…(僕が宇宙人的と評するそのあたり)、「突然変異的な違和感」が微塵も失われてないところが非常に異端だし素晴らしいと思っちゃうわけです。MuseとMew。CDという、同じ見かけ/容量のパッケージに全く異なった内容物が。まぁ、「ほぼ満タン入ってる」ところは似ているかも。どちらも大好きですよ。(2006年2月)  *2009年一部加筆




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