Close Calls With Brick Walls/Andrew W.K.
(2006)
Album
突如として投げ始めた変化球(つうか魔球)
前作「The Wolf」から約3年の時を経て遂に!発表された3rdアルバム。伝説の鼻血ジャケットで世界に衝撃(と爆笑の渦)を巻き起こしたデビューアルバム「I Get Wet」以来、ひたすら疾走し続けてきたアンドリューも流石に疲れたか、またケガしたか流血の事態に見舞われたのかは定かでないが、2003年の2nd発表ツアー後はサントラにちょこちょこ参加したりするぐらいで(本国ではライブなんかもたまにしてたみたいだけど)めっきりその暴れぶりを耳にすることも少なくなる。(そういやセカンドは全曲壮大なエンディングテーマに聴こえたっけ…)延々「New Album Coming Soon」と表示されつづけるHPにヤキモキしながらも、時にアップされる新曲のデモと何だか怪しげなファンサイトからのライブ音源やらその他諸々をしこしこダウンしては聴き漁る、何とも待ちぼうけの煮え切らない日々を送っていたファン達は多かったはず。はい。僕のことです。そこへ来て、さぁこのアルバムです。結論から言うと、既に歴史的名盤と呼んで差し支えないとすら思っている。あ、思い入れコミコミで。以前からのファンなら賛否両論ありそうなところもひっくるめて。何が凄いかというと、こんだけ変わったのに収録曲全てが未だ自分の曲以外の何にも似ていない、これが凄い(爆笑)。まさにアンドリュー節全開。ただ一聴しただけだと、前2作を熱心に聴きこんだ人の中には「え?これアンドリュー?」と思う人も少なくないはず。根底にあるエナジーの量、暑苦しさ、筋肉度数、塩加減、あぶら感(ほか呼び名はなんでもいい)には当然のごとく特に変化はない。しかしそのサウンドは特にリズム面において、所詮”四つ打ちの色違い”だった1st、2ndの何倍も多彩なフォーマットを取り入れているからだ。個人的にはアンドリューWKをロック/メタルだと思ったことは一度もなく、むしろ本質はテクノ・ビッグビートないしクラシック音楽的な部分にあると解釈して聴いてきたのだけど(実際彼はピアノ弾きである)、今作ではそこにさらにヒップホップやジャズ的なリズムアプローチが追加され、奇妙にバカカッコイイ味を出している。「Las Vegas, Nevada」のように スウィンギーなビッグバンド風のがあったかと思えば、寝起きのベートーベンみたいなインタールード「Dr. Dumont」あり、「Pushing Drugs」なんて「オラこんなリズムの曲聴いたことねぇだ」っつってお百姓さんも逃げ出すような奇怪なリズムの名トラックに仕上がっているのだから(失笑)。あまつさえ最も正統に前作を継承する壮大な最終曲「The Moving Room」ですら奴はファルセットを使ったりしてるんだぜ!アルバム中では「イスラ・ヌブラルに到着…かと思ったら、わぁ!ディズニーワールド!」的(?)な出だし(あくまでイントロではない。「出だし」)を持つ「When I'm High」が…いい…(しばし悦に入る)。間奏のピアノが何故かむやみに美しいメロディ(爆笑)なのもアンドリュー…あんた最高だよ。力一杯投げつけることだけに全身全霊を注ぎ、時にはまるで暴投するためにマウンドに上がっていたかに見えた(もしくはそれしかできないのだと思われていた)うだつの上がらない豪腕ピッチャーが、ある日、突如として投げはじめた魔球に継ぐ魔球(しかもすげぇ変なフォームの)みたいな?それが本作「兄貴、危機一髪!」(邦題…)だ!さぁみんなどれだけこれをキャッチできるか!*インディーズなのか。金なくなったのか。(バイトしてるらしいし)何か前よりちょっと音質悪くなったね…(笑)あと最近ジャケットもHPのデザインも、なんか怖ェんだよ!(爆笑)まそんなとこも含めて、ラヴ!!(2006年7月) *2009年一部加筆

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