ALL!!!!!!/100s
(2007)
Album
張り手のような轟音のむこうに
中村一義率いる5ピースロックバンド、100s(ひゃくしき)。待望のセカンドアルバム!いやぁ来ちゃったよ!とてつもなくラウド!ザ・フーの名盤「Who's Next」を思わせる内ジャケも意味深、「全て!!!!!!」と叫ばれたタイトルまんま、これはまるで「未来のロック・ソングのベストアルバム」のようだ。前作「OZ」に比べ、何かが吹っ切れたというか、「OZ」にあった寸分の弱さ/迷い(勿論、前作ではそれがあの時点で必要不可欠なリアリティであったのだが) が消え換わりに隅々までを埋め尽くす爆音ドラム、コードストローク主体の激音ギター!!前作、そして中村作アルバムには欠かせない存在でもあったインタールード的小曲が消え、換わりにエレギとヴォーカルのみのシンプルな「蘇州夜曲」のカバーが一つ。あとは澄み切った青空のような、いや、とにかくデカい音がなり響く草原のような、ビッグなポップ!でかい音はよりデカく!高い音は更に高く!低音はより低く!“出るとこまで、出せ。高音。そう、ナイス。”(M6「シンガロング」) 無論、音程に関してはそんなことありえないんですけどね。どうにもそんな風にさえ響いてならない、そんな雰囲気に満ちた100s史上、いや中村一義史上もっとも“覇気”、“気合”に満ち満ちた鉄壁のラウドロック。全身全霊な一枚。傑作。去年のライブで初めて中村一義を、100sを観、「まるでレディオヘッドみたいだ!」と一人感激したことを思い出す。輪になってお互いの呼吸を観ながら、絶妙なアンサンブルで奏でられる楽曲たち。そこで歌う中村一義の声が、もうとんでもない!伸びる伸びる!狭いライブハウスの天井から突き抜けて青空が見えるかのような、抜群のヴォーカル!ピッチとかリズムとかいうささいな話じゃない。CDからして伝わってはいるけれど、絶対ライブ観た方がいい。とにかく声、いいよ。だけどきっと今作を引っさげて行われるツアーではさらに一皮向けた、ロック・バンドとしての100sが出現するに違いない。いやどう考えたってこれ、小さい音でなんか聴いてちゃだめでしょ。スピーカーがグラグラする位のデカい音で聴いてください。M8「つたえるよ」の曲中、遠くで響くチャイムの音。“一人”を唄うことで自らの、そして多くのファンの声となり続けてきた彼が、“人”と“仲間”と出会い、“時代(ERA)”を通り過ぎ、バンドを組んで歩き出し、そして遂に今作“すべて”をうたい始めた。“まだ泣くな、まだ、泣くな。この長い環の上。”(M9「ももとせ」)うん、泣きゃぁしねぇよ。ばーか。埃が目に入っただけでぃ。しかしこのアルバム、実は最後にオチがあって、最終曲「もしこのまま」で彼はしょっぱなから、こう歌う。“ねぇ、二人にして。語ろうとしてんじゃない。”ふと気づけば、全てを見据える中村の目は、目の前の僕・あなたを見ていることに気づく。そして、語ろうとしている。アーティストとしての好調ぶりが出るあまりの、「立ちあいから強烈な張り手応酬」みたいな、ジャケットそのままのこの「強度」にどれだけの共感が得られるかという弱みこそあれ、それを超えた地点へ100sは猛スピードでいま加速し始めている。この瞬間を目撃するものにとって、そして中村一義自身にとって、これはもしかすると二本目の「金字塔」なのかもしれない。(2007年5月) *2009年一部加筆

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